スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at April 20. 2016

新しく公開したxTAPPの開発版20160420ではスピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算がサポートされます。ストレス計算も可能になっています。大きな機能追加であるため、さまざまなテストが必要かと思われます。また周辺ツールなどに拡充が必要かもしれません。利用者の皆様からのフィードバックを歓迎致します。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at April 20. 2016

programs.texの

プログラムの運用について -> スピン軌道相互作用、non-collinear磁性の計算

を最初にご覧ください。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at April 20. 2016

Auのスピン軌道相互作用込みの計算用の入力ファイルになります。

au.cgがcgmrpt用、au.pefがvbpef用です。

Attachments

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at April 21. 2016

制限事項:non-collinearで計算する場合、k-points dataセクションのdos_modeにはCOSを利用できません。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at April 22. 2016

patch-1 版を公開しました。

1. フェルミ面積分をする際に対象バンドの下限として2以上を設定すると
結果が不正になる。明示的に設定していない場合1になっています。

2. non-collinear計算の場合、入力処理のミスで不正な初期電荷密度が
作られるのでプログラムが異常終了する。

3. 文書の細かい手直し。

の3点が修正されます。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at June 13. 2016

お世話になっております,東京大学の明石です.

開発版を用いてSOなしのバンド計算を行うにはどうすればよいでしょうか.

xTAPP-dev-160420-1のverの実行体(inipot, cgmrpt, vbpef)を用いてfcc-Al(SOなしとありで微妙なバンド分裂以外はほとんど同じ結果を出すべき)についてテスト計算しましたが正常な結果が得られませんでした.

i)擬ポテンシャルはxTAPP-PS-PBE-SO-dev,インプットとしてnumber_component=1

--> cgmrpt実行時にエラー("inconsistent number_component between input and P.P. ")を吐き出し停止

ii)擬ポテンシャルはxTAPP-PS-PBE-nc, インプットとしてnumber_component=1

-->fort99中のFermiエネルギーが異常に大きい(+~6eV),ただしバンドの概形は正常に見える?

xTAPP-dev-160420-1を用いてSOなし計算を行う方法がありましたらご教示いただければ幸いです.cg, pef, str(fort.99)およびdat(vbpef2gp-lsdaで得たバンドファイル)を添付いたします.

Attachments

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at June 13. 2016

計算上のフェルミエネルギーの絶対値には意味がありません。もし仕事関数の計算を行いたい場合には、計算セルの中に実際に真空領域を作り、表面を含む系としてから計算を実行し、真空領域のポテンシャルエネルギーとフェルミエネルギーの差として仕事関数を計算しなければなりません。なお、結果は作った表面に依存します。元々仕事関数は表面によって異なります。

また2成分計算に対応する擬ポテンシャルは現状では2成分計算のみで利用可能です。

もっとも、擬ポテンシャルを手で編集し、同一の軌道量子数に対応するプロジェクタの係数Dとbetaが同じ物になるようにすればできますが。USPPの場合にはこれに加えてQも編集する必要があります。

また、xTAPP-PS-PBE-SO-devはノルム保存版ではなくUSPP版が基礎になっていますので、結果比較の再にはこのことにも気をつけて下さい。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at June 13. 2016

迅速なご回答,まことにありがとうございます.

確認なのですが,fort.99に書き込まれるfermi energyはvalence電子のフィリング数によって決めているのですよね.その意味が開発verでは失われているということでしょうか.

当コメントii)の状況をもう少し詳しく書くと,fort.99内に書かれたfermi energyを用いてvbpef2gp-lsda実行時のゼロエネルギー較正を行ってバンドを書くと,rc-150401を用いたSOなし計算に比べて全体が数eVシフトしたようなバンドが得られます.これが想定通りの挙動ということでしょうか.もしそうなら,開発版でのSOなし計算で正しくフィリング数と対応するfermi energyを書き出す方法はありますでしょうか.

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at June 13. 2016

6/13 11:52の私のコメントを見返したところ

"ただしバンドの概形は正常に見える?"

という文言がミスリーディングだったと気づきました.誠に失礼いたしました.

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at June 13. 2016

フェルミエネルギーを原点にとったときのバンド構造は大体同じでなければ何かがおかしいです。フェルミエネルギーの定義はそこまで電子を詰めると電子数になるエネルギーのことです。計算の途中でフェルミ面が収束して、そこまでの電子数が正しい値になったかどうか確認した方が良いかもしれません。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at June 13. 2016

ご回答ありがとうございます.

6/13 11:52の私のコメント(ii)のSO無し計算について cgmrptのlogファイルを確認したところ,Al(ユニットセルあたり電子数3)についてつぎの結果を確認しました.

I, EFの行に表示される"CHARGE"=3.0

II, "TOTAL CHARGE"=6.0

ちなみにrc-150401で同様の計算(SOなし)を行った場合

"CHARGE"=1.5

"TOTAL CHARGE"=3.0

dev-160420-1でSOあり計算を行った場合

"CHARGE"=3.0

"TOTAL CHARGE"=3.0

です.

number_components=1と2の場合でのCHARGEの処理をを変えればよいのかと思いますが,それをするために必要なオプションがありますでしょうか.あるいはコードを修正する必要がありますでしょうか.所見をお聞かせいただければ幸いです.

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at June 13. 2016

II.のTOTAL CHARGEが6.0なのはおかしいです。

違う擬ポテンシャルを使っていませんでしょうか?

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at June 13. 2016

擬ポテンシャルは2014/4/1リリース版の

xTAPP-PS-PBE-nc

を用いました.もちろんSOは入っていません.(ノルムの保存・非保存は今の問題に関係ないかと推察しますが,この点誤りがありましたらご指摘ください.)

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at June 14. 2016

こちらでAlの計算をSOあり、なしで比較しましたが、fermi energyの絶対値自体がほとんど変化しません。

noSO2の方のAl.strを確認したのですが、かなり大きなストレスがでていますし、全エネルギーもかなり違うので、こちらの計算が間違っているのだと思います。inipotの結果出力される初期化データはSOあり、なし混ぜては使えませんし、開発版と以前の版でも混ぜて使うべきではないですが、これを混ぜて使ったりしていませんでしょうか?

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at June 15. 2016

検証計算ありがとうございます。 fermi energyの値がほとんど変化しなかったとの旨、承知いたしました。

今一度こちらで行った計算(noSO2)の条件を整理いたします。下記は "混ぜて使う"に該当しますでしょうか。ご教示いただけますと幸いです。

inipot, cgmrpt, vbpef: "全て" xTAPP-dev-160420-1

擬ポテンシャル: "2014/4/1リリースの" xTAPP-PS-PBE-nc

インプット: 添付の通り(特記事項としてnumber_component=1)

ちなみに吉本様の検証計算のinipot, cgmrptおよび擬ポテンシャルのverはどのようなものでしたでしょうか。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by 吉本 芳英 at June 15. 2016

計算を開始する前にきちんと対応するバージョンのinipotを動かしたかどうかが問題になります。

なお、私の所の計算ではノルム保存版の擬ポテンシャルはつかっていません。元々スピン軌道版の擬ポテンシャルはノルム保存版ではないので、これと対応させることは誤りになります。

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at July 04. 2016

お返事が遅れて申し訳ございません.

developer版でのSOなし計算の件ですが,

吉本様の御指摘を受けまして擬ポテンシャルをノルム非保存のもの(xTAPP-PS-PBE 2014/4/1リリース版)に変えて再度dev-160420-1によるSOなし計算を行いましたが,やはり計算結果はおかしなままでした(TOTAL CHARGE=6.0; ストレス大; EFがおかしい).

ひとまず自分のローカルにあるdeveloper版実行体の一部が手違いで旧いものに置き換わっている可能性を潰すため,次はdownloadページからdeveloper verを再インストール→再計算してみて結果を報告いたします.

取り急ぎ連絡まで.

Re: スピン軌道相互作用およびnon-collinear磁性の計算

Posted by Ryosuke Akashi at July 05. 2016

ただいま最新のxTAPP-develop-160629をインストールして再計算したところ正常な計算ができました(TOTAL CHARGE=3.0; ストレスEF正常).

長きにわたって対応いただきありがとうございました.